説明
ドイツの心理・生理学者ヘリングが1861年に報告した錯視です。1枚目の画像では、2本の赤い線はゆがんで見えます。2枚目の画像に進むと、背景が消えます。背景の影響がないときは、2本の赤い線は平行であることがわかります。
「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして、3枚目の画像にすすんでみましょう。やはり赤い線がゆがんで見えるヘリング錯視が観察できます。
「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして、4枚目の画像にすすんでみましょう。赤い線を画面中心へ移動すると、錯視効果は減っていきます。このことから、錯視を観察するには、赤線と背景との線分のなす角度が90度より小さくなければならないことがわかります。
ヘリング錯視は、赤線と背景の線分との間の角度が過大視された結果生じていると考えられます。このような角度の過大視は、「傾きの対比」や「ツェルナー錯視」においても観察できます。
なお、ヘリングは、「色の反対色説」を唱え、現代の色覚理論の基礎を築きました。色の信号は最初の「赤、青、緑」から、次の段階で「赤-緑、青-黄、白-黒」、という三つの組に変換されるというヘリングの理論は、神経生理学的にその正しさが証明されています。網膜にある錐体(すいたい)という光センサーは、三つの波長(長波長、中波長、短波長)にその応答のピークがあります。錐体から信号を受ける網膜の神経節細胞では、これらの応答の足し算や引き算が行われ、それが上記の「三つ組」、すなわち反対色を作り出します。「色の残効」や「色の残効(風景)」でみられた残効は、基本的にヘリングの反対色理論で説明できると考えられます。
デモについて
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