説明
ドアのようなものが左右に動いています。中央で手前側のドアの縁(ふち)が固定されていて、奥にむかってドアが左右に往復運動をしているように見えます。それでは、長方形のドアでなく台形の板が、長い辺を中心軸にして回転運動をしていると思って、目をこらしてみて下さい。そのように見えたとしても、映像としてはなんら矛盾はありません。短い辺が後ろから回り込んで手前をとおってまた後ろへまわる、と見るのです。しかしどうでしょうか?とても難しくありませんか。どうしても向こう側で往復運動に見えてしまいます。
動画を再生してしばらくすると、動いているドアの縁が、中心軸になっている縁よりも長くなります。そうです、台形の形を変えて、動いている辺が長くなるのです。どうでしょう。今度はドアは手前側で往復運動をして、奥にはいかなくなりました。
網膜の二次元情報から、三次元世界を再構成するという役割を担う私たちの視覚システムは、外界の特性に合わせて、モノの三次元構造を推定しています。長方形を透視図でみると台形となり、短い辺はつねに遠くにあります。そのため視覚システムは、画面上では奥行きに違いはないにもかかわらず、短い辺はより遠くにあると解釈していると考えられます、その結果として、動いている台形の短辺を手前に見ることが難しいのでしょう。「ミュラーリヤー錯視」や「水平垂直錯視」においても、積極的に三次元構造を見つけ出すような視覚システムの働きを観察することができます。
なお、原図では黒のドアではなく、窓枠の絵であったのでエイムズの窓と呼ばれます。
デモについて
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