説明
神経科学者のDonald MacKayが1957年に発表した錯視図形です。放射状のパターンの中心をしばらく、例えば10秒ほど見つめていると、やがてパターンがあたかも振動しているかのように動き始めます。静止しているパターンが動いて見える錯視は、「止まっているのに動く」「止まっているのにゆれる」でも観察できます。
さて、パターンが振動するように動き始めたら、目はそらさずに「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして、2枚目の画像に進んでください。すると、中心の点以外は何も描かれていない灰色の一様な画面が現れます。この中心点を見続けていると、放射パターンが描かれていたあたりが明るくなり、その中を、細かい線分がとても速く回転しているように見えます。この幻の動きは、放射状パターンに順応することにより生み出された目の錯覚です。
さらに、「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして3枚目の画像に進むと、今度はゆがんだ放射状パターンがあらわれます。やはり10秒程度順応した後に「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして4枚目の画像にすすむと、同じようにドラマチックな動きの錯覚を観察することができます。最初の画像よりも、こちらの画像が生み出す錯覚の方が強く感じられるでしょう。
止まっているはずのパターンが動いて見える原因は、眼球運動にあると考えられています。「止まっているのに動く」の説明をご覧ください。「マッカイの光線」錯視から、眼球運動により作り出された幻の動きが、運動残効を引き起こしていることがわかります。(実際の動きが作り出す運動残効に関しては、「運動残効」のデモをご覧ください)
なお、このような放射状のパターンを出しながら画面を点滅させると、パターンとその残像が同時に観察されます。パターンの位置や形状を変えることにより複雑な残像が現れ、視覚性幻覚(visual hallucination)と呼ばれています。幻覚の実態は運動残効だと考えられます。
参考文献
- MacKay, D. M. (1957) Moving visual images produced by regular stationary patterns. Nature, 180, 849-850.
- Gori, S. & Hamburger, K. (2006) A new motion illusion: The Rotating-Tilted-Lines illusion. Perception, 35, 853-857.
- Billock, V. A. & Tsou, B. H. (2007) Neural interactions between flicker-induced self-organized visual hallucinations and physical stimuli. PNAS, 104, 8490-8495.
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。