説明
石けんの元になる油脂の研究で有名なフランスの化学者シェブルールが、200年近く前に研究した錯視です。
色が違う長方形を見てみると、それぞれの明るさは均一でなく、複雑に変化しているように見えます。しかし実際は、明るさは下図のように単純に変化しているだけなのです。ところがエッジの部分で、隣の長方形との明るさの違いが強調され、結果として明るさが不均一に見えています。これをシェブルール錯視と呼びます。
なお、シェブルール錯視とマッハバンドは区別されています。マッハバンドを生み出すパターンでは明るさはなだらかに変化しており、階段状に明るさが変化するシェブルール錯視図形とは明らかに違います。「マッハバンド」で確認してください。
しかし、明るさが急激に変化するエッジの部分で錯視が生じるという点は、「マッハバンド」や「ヴァザレリ錯視」と同じであると言えます。どの錯視も、「明るさの対比」で説明した側抑制のメカニズムにより生み出されていると考えられています。アメリカの生理学者K.ハートラインは、マッハバンドやシェブルール錯視を引き起こす反応がカブトガニの目における細胞でみられることを発見し、ノーベル賞生理学・医学賞(1967年)を受賞しました。
シェブルール錯視が観察できる図形は長方形だけではありません。「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして2枚目の画像を見てみましょう。それぞれの図形は同じ明るさですが、やはり不均一に見えます。
参考文献
- Hartline, H. K. (1969) Visual receptors and retinal interaction. Science, 164, 270-278.
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