説明
同じ重さの物体に、熱伝導率の高いアルミ箔を貼ってみたり、岩のゴツゴツ感を出せるスプレーをしてみたり、温かみのある木の紙を貼ってみたりしたものを用意しましょう。目をつぶって表面の素材が異なる物体を持ち上げると、質量は同じであるにも関わらず軽そうな材質のものほどより重く感じられます。大きさ-重さの錯覚とは異なり、物体の大きさは同じですので、表面の材質が重さの知覚に影響を与えているのだろうと考えられます。
この錯触において、見た目だけでわかる材質感と、触れることによってわかる材質感のそれぞれがどのように重さの錯覚に影響するのでしょうか?ある研究によれば、目をつぶって材質の情報が触覚的にしか得られないようにした状態であっても、材質感の情報が見た目だけでしか得られない状態であっても、この錯触が生じることが報告されています。しかし、材質感が触覚においてしか判断できない状態のほうが錯覚は強くなるそうです。見た目の材質感による錯覚については、見かけの材質感による重さの錯覚のページをごらんください。
この錯覚は、別名として密度-重さの錯覚と呼ばれることもあります。例えば発泡スチロールの密度が小さいのに対し、金属は密度が大きいというように、材質によって密度が異なることがこの錯覚の原因になっているのではないか、と考えられています。この材質-重さの錯覚(もしくは密度-重さの錯覚)が起こる理由としては、大きさ-重さの錯覚と同様に、期待が裏切られることによって生じるとする仮説が適用できそうです。つまり、密度が小さそうな材質の物体は軽いと期待されるのに実際には重い場合、その重さがより強調されて感じられるのではないかという考え方です。
参考文献
- Ellis, R. R., & Lederman, S. J. (1999). The material-weight illusion revisited. Perception & Psychophysics,61(8), 1564–1576.
デモのながれ
[1]. 同じ大きさで表面の材質が違うものを用意します
[2]. Q.どれが一番軽いでしょう?
[3]. 目を閉じてから…
[4]. 手で持って重さを比べてみます
[5]. 軽いと感じられるものから番号を付けてみます
[6]. 正解は…?
[7]. 正解は全て同じ重さです
[8]. なぜ、違う重さに感じられるのでしょうか?
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。