説明
大きさも重さも同じだけれども異なる素材からできている物体を、直接触らずに持ち上げてみてください。例えば、紐をつけてぶら下げたり、軽い板に乗せて持ち上げたり、厚い手袋ごしに持ち上げたりするとよいでしょう。このとき、見た目が軽そうな材質でできた物体のほうが重く感じないでしょうか? これは材質-重さの錯覚で紹介した現象と似ていますが、今回は材質感の情報は触覚的に得られませんので、見た目によって触覚的な重さ感が変化する多感覚的な現象であるといえます。
このような見た目の材質感を重さ推定に用いるのは、物体を持ち上げるために物体をどれくらいの強さでつかめばいいかを判断するために重要なのかもしれません。つまり、物体を掴む前に、その物体の見た目の材質感から重さを推定することで、物体を落とさない最低限の力加減を決めることができるのかもしれません。ただし、材質-重さの錯覚で説明したように、重さの期待が裏切られるような場合には、今回の錯触のように見かけの材質感に基づいた重さ推定が誤ってしまうことがあるようです。
参考文献
- Wolfe, H.K. (1898). Some effects of size on judgments of weight. Psychological Review, 5(1), 25–54.
- Harshfield, S. P., & DeHardt, D. C. (1970). Weight judgment as a function of apparent density of objects. Psychonomic Science,20(6), 365–366.
- Ellis, R. R., & Lederman, S. J. (1999). The material-weight illusion revisited. Perception & Psychophysics,61(8), 1564–1576.
デモのながれ
[1]. 同じ大きさで見た目の材質が違うものを用意します
[2]. ひもの部分を持って重さを比べてみます
[3]. 見た目が軽そうなほうが、もう片方より重く感じられます
[4]. 実際は2つとも同じ重さです
[5]. なぜ、違う重さに感じられるのでしょうか?
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。