説明
垂直水平錯視の触覚バージョンです。垂直線(赤線)と水平線(黒線)は同じ長さであるにも関わらず、目をつぶって指でなぞってみると垂直線(赤線)のほうが長く感じます。垂直線は水平線のおよそ1.2倍の長さに知覚されるそうです。
垂直水平錯触は垂直水平錯視と多くの共通点を持っています。垂直水平錯視では、水平線(黒線)の中心に垂直線(赤線)が立っているとき(逆T字のとき)に錯視が強く、水平線(黒線)の端に垂直線(赤線)が立っているとき(L字のとき)では錯視が弱くなります。この現象は垂直水平錯触でも同様に表れます。浮き出たL字を指でなぞってみると、垂直線(赤線)のほうが長く感じる現象は弱まって感じられるのではないでしょうか。
更に、逆T字を90度回転させるとどうなるでしょうか。このとき赤線が水平線になり、黒線が垂直線になります。このとき、見た目では垂直線(黒線)よりも水平線(赤線)のほうが長く感じられます。見た目だけではなく、目をつぶって指でなぞってみても同様に水平線(赤線)のほうが長く感じられます。
このように垂直水平錯覚は、視覚と触覚でよく似た性質を示します。垂直水平錯視も垂直水平錯触も未だにそのメカニズムが明らかになっていませんが、もしかしたら視覚と触覚に共通のメカニズムによって垂直水平錯覚が引き起こされているのかもしれません。
実際にデモを試される場合は、下記より印刷用PDFファイルのダウンロードが可能です。
参考文献
- Deregowski, J., & Ellis, H. D. (1972). Effect of stimulus orientation upon haptic perception of the horizontal-vertical illusion. Journal of Experimental Psychology, 95(1), 14–19.
- von Collani, G. (1979). An analysis of illusion components with –L and–T-figures in active touch. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 31(2), 241–248.
- Suzuki, K., andArashida, R. (1992). Geometrical haptic illusions revisited: Haptic illusions compared with visual illusions. Perception &Psychophysics,52(3), 329–335.
- Millar, S., & Al-Attar, Z. (2000). Vertical and Bisection Bias in Active Touch. Perception,29(4), 481–500.
- Gentaz, E., andHatwell, Y. (2004). Geometrical haptic illusions: The role of exploration in the Müller-Lyer, vertical-horizontal, and Delboeuf illusions.Psychonomic Bulletin & Review,11(1), 31–40.
デモのながれ
[1]. 実験用の図形を紙に印刷したものを用意します
[2]. 布や段ボールなどやわらかいものの上に紙を乗せて
[3]. えんぴつなどで強く線をなぞります
[4]. なぞり終わった紙を裏返すと、なぞった図形がうき出ています
[5]. 目を閉じてうき出た図形を手でさわります
[6]. 左の図形では垂直線・水平線のどちらが長く感じられるでしょうか?
[7]. 真ん中の図形(L字型)では垂直線・水平線のどちらが長く感じられるでしょうか?
[8]. 右の図形(左の図形を90度回転)では垂直線・水平線のどちらが長く感じられるでしょうか?
[9]. 線の配置の違いによって長さの感じ方も変わるか確かめてみてください!
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。