説明
ミュラーリヤー錯視の触覚バージョンです。外側に開かれた矢羽に囲まれた赤い水平線(>-<)をなぞってみると、内側に向けられた矢羽に囲まれた赤い水平線(<->)よりも長く感じられます。ものさしでそれぞれの赤い水平線の長さを測るとわかるように、実際には二本の赤い水平線の長さは同じです。
赤い水平線の長さを判断しようとなぞるとき、指が矢羽の部分にも触れてしまうことに気がついたでしょうか。もしかしたら、我々は水平線の長さのみを判断しようとしても矢羽部分を無視できず、水平線の長さの判断に活用してしまうのかもしれません。
生まれつき目が見えない人であってもミュラーリヤー錯視もミュラーリヤー錯触も生じるそうです。矢羽のなす角が小さくなれば小さくなるほど(鋭角になるほど)錯覚が強くなるという現象も、視覚と触覚で共通しています。このことから、ミュラーリヤー錯触はミュラーリヤー錯視と同じプロセスで生じているのではないか、と考える研究者もいます。
実際にデモを試される場合は、下記より印刷用PDFファイルのダウンロードが可能です。
参考文献
- Hatwell,Y. (1960). A study of geometrical tactile illusions among the blind. L'Annee Psychologique, 60, 11–27.
- Over, R. (1966). A Comparison of Haptic and Visual Judgments of Some Illusions. The American Journal of Psychology,79(4), 590.
- Heller, M. A., Brackett, D. D., Wilson, K., Yoneyama, K., Boyer, A., & Steffen, H. (2002). The haptic Müller-Lyer illusion in sighted andblind people. Perception, 31(10), 1263– 1274.
デモのながれ
[1]. 実験用の図形を紙に印刷したものを用意します
[2]. 布や段ボールなどやわらかいものの上に紙を乗せて
[3]. えんぴつなどで強く線をなぞります
[4]. なぞり終わった紙を裏返すと、なぞった図形がうき出ています
[5]. 目を閉じてうき出た図形を手でさわります
[6]. どちらの図形の水平線のほうが長く感じられるでしょうか?
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。