説明
片手でつまんだディスク(硬貨など)を、もう一方の手で回転させ続けると、だんだんディスクが長く伸びていくように感じるのではないでしょうか。この錯触は30秒から40秒程度、長く回すほど明瞭になっていきます。ディスクの直径が大きいほどこの錯覚も大きくなるそうです。
片手でつまんだ物体をもう一方の手で回すという状況は、回転する砂時計の錯覚と似ています。しかし、回転する砂時計の錯覚ではつまんだ棒がくびれたように感じるのに対し、回転ディスクの伸長錯覚ではつまんだディスクが伸びて感じるというように感じられる形状変化は異なります。ある研究者たちは、どちらの錯触もつまんだ物体を(自分で回さず)自動回転させることでも生じるという発見に基づいて、回転ディスクの伸長錯覚も回転する砂時計の錯覚と同じメカニズムによって生じるのではないかと議論しています。つまり、ディスクを回転させることでディスクに接している皮膚領域に順応が生じ、その結果ディスクが円状ではなく潰れた形状に知覚されるのではないか、という仮説です。
参考文献
- Cormack, R. H. (1973). Haptic illusion: apparent elongation of a disk rotated between the fingers. Science, 179, 590―592.
- Jones, K.N., Gettys, C.F. and TouchstoneR.M.(1974) A TactileIllusion—The Rotating Hourglass. Perception & Psychophysics,15, 335-338.
デモのながれ
[1]. コインの側面を親指と人差し指ではさみます
[2]. もう片方の手で、指ではさんだコインをくるくると回転させます
[3]. 30秒~1分程度、回し続けてください
[4]. コインの形がだんだん横長になっていくように感じられます
[5]. ぜひ試してみてください!
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。