説明
片手でつまんだ短い棒を、もう一方の手で回転させ続けると、棒のつまんでいる部分が砂時計のようにくびれて知覚されます。この錯触は30秒から40秒程度、長く回すほど明瞭になっていきます。
これは棒をつまんで回転させたときに感じる圧力の分布が不均一になるためと考えられています。つまり、つまんでいる回転中心部分では指先に弱い圧力を感じ、周辺部分では強い圧力を感じるために、中心部分は周辺部分よりも凹んでいると解釈される、という仮説です。
なぜつまんでいる回転中心部分では感じられる圧力が弱くなるのでしょうか?棒をつまんでいる回転軸中心部分の指の皮膚は、棒から絶えず圧力を受け続けています。圧力に長時間さらされ続けると順応が生じます(順応については運動残効も参照ください)。つまり、回転軸中心部分に触れている皮膚領域において検出される圧力が徐々に弱まっていきます。一方で、回転軸から離れた皮膚領域では、棒から断続的に圧力を受けるため、順応が起こりにくく、圧力を安定的に検出できます。このようにして、棒をつまんで回転させたときに棒から受ける圧力の分布に歪みが生じると考えられます。
参考文献
- Jones, K. N., Gettys, C. F. and Touchstone R. M. (1974) A TactileIllusion—The Rotating Hourglass. Perception & Psychophysics, 15, 335-338.
デモのながれ
[1]. 円筒形の色えんぴつを親指と人差し指ではさみます
[2]. もう片方の手で色えんぴつをくるくると回転させます
[3]. 30秒以上、回し続けてください
[4]. 指ではさんでいる部分が砂時計のようにへこんでいるように感じられます
[5]. 円筒形のものであれば同じ錯触が起こります
[6]. いろいろな物で、ぜひ試してみてください!
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。