説明
灰色の地に二つのしま模様があります。右と左ではしま模様の数、すなわち粗さが異なっています。左のパターンのほうが細かく、右のパターンのほうが粗くなっています。これらのしま模様の間にある「+」印を、10秒ほどじっと見つめて下さい。そして目を動かさずに、「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして、2枚目の画像に進んでください。別のしま模様に切り替わります。切り替わった直後のしま模様では、左右どちらのパターンの方が粗く見えますか?
右の方がしまの数の方が多い、すなわちより細かく感じられたのではないでしょうか。しかしよくよく見るとわかるとおり、粗さは同じです。前の図では左の方が細かく、右の方が粗かったので、逆転して見えたわけです。
これは、そのほかのデモでも紹介されている「残効」現象の一つで、専門的には「大きさ残効(Size Aftereffect)」と呼ばれています。しま模様の細かさや粗さは「大きさ」と関連付けられるからです。専門用語では、しま模様の粗さを「空間周波数(くうかんしゅうはすう)」と呼びます。粗いしま模様は低空間周波数、細かいしま模様は高空間周波数の模様です。
私たちの脳には大きさ(しま模様の粗さ=空間周波数)に反応する神経細胞があります。物体の大きさに対する私たちの知覚は、これらの神経細胞が出す信号の分布パターンによって決まります。ある大きさの物体をしばらく見つめていると、その大きさに反応する神経細胞の感度が鈍ってきます。これを「順応」と呼びます。すると神経細胞群の出す信号のパターンにかたよりがでてきます。そのようなかたよりがあるときに別の物体を見ると、その大きさが実際とは異なって見えます。それが「大きさ残効」です。
参考文献
- Blakemore, C. & Sutton, P. (1969). Size Adaptation: A New Aftereffect. Science, 166, p.245-247
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。