説明
写真が実際よりもくっきり見える、という錯視をご紹介します。1枚目の画面では、左の写真をぼかしています。右の写真は元のままです。この2枚の写真の真ん中を10秒ほど見続けます。そして眼をそらさずに、「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして2枚目の画像に進んでください。やはり2枚の写真が出てきますが、左の写真の方がすこしくっきりしているように見えませんでしたか。実際は左右の写真は全く同じなのです。この錯視効果はすぐに消えてしまいますので、注意して観察しましょう。
このように、ぼけた写真を見続けると、その後に見る写真はくっきり見えてきます。ぼけ残効(blur aftereffect)と呼ばれています。
それでは、逆にくっきりした写真を見続けると、どうなるでしょうか?「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして3枚目の画像に進んでください。すると、左にぼけた写真、右にくっきりした写真が現れます。この2枚の写真を10秒ほど見続けた後、「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして4枚目の画像に進んでみましょう。あらわれた写真は左右で全く同じなのですが、すこしの間、左の方がくっきり、右の方がぼけて見えます。つまり、くっきりした写真を見続けた後にオリジナルの写真を見ると、ぼけて見えるようになります。
順応する、つまり見続けることにより、私たちの脳が持っている「デフォルト値」を変えてしまうことができます。ぼけた写真を見続ければ、それが脳にとってのデフォルトになってきます。その結果、ぼけた写真が、だんだんぼけて見えなくなるのです。そのため、ぼけていない写真を順応後に見えると、逆にくっきり見えてくる、というわけです。
参考文献
- Webster, M., Georgeson, M. & Webster, S. (2002) Neural adjustments to image blur. Nature Neuroscience, 5, 839-840.
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。