説明
1枚目の図は白い背景に黒い線で格子を描き、その交点を切り取って青やピンクなど様々な色の「+」をはめこんだものです。他には全く色をつけていないのですが、「+」の周囲にぼんやりと色がにじんで見えます。
「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして2枚目の画像に進むと、黒い線分を全て消すことができます。そうすると、ネオンカラーは消えてしまいます。
「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして3枚目の画像に進むと、今度は背景が黒くなります。ここでは、色が黒い背景の上に拡散する、美しいネオンカラーを観察することができます。「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして4枚目の画像に進み、白い線分を消すと、ネオンカラーも消えます。
ネオンカラー効果がもたらされる理由は、「色の分解能の低さ」、そして「色と明るさのダイナミックな関係」の2点ではないか、と考えられます。「色の分解能の低さ」に関しては、「水彩錯視」で詳しく説明していますが、ここでも簡単に紹介します。色をとらえるために、まず網膜にある三つの錐体細胞(すいたいさいぼう)が必要になります。明るさをとらえるためには、原理的には一つの錐体があればよいので、明るさと比べると色の分解能はどうしても悪くなります。下の図は、網膜にしきつめられている錐体の様子を模式的に描いたものです。実際にはこのような色はついていません。
図で見られるように、センサーとして働く各錐体は分散して配置されています。そのために生じる分解能の悪さから、色の情報しかない時には、にじんで見える可能性がでてきます。しかしながら、際限なくにじむことはありません。その一つの理由は、明るさの変化があるところで、にじみがとまる、ということです。明るさの変化があるところでは、色も変化するに違いない、と脳が判断していると考えられます。
しかし、このネオンカラー効果の場合、明るさの変化はどこにあるのでしょうか?ここで、「エーレンシュタイン錯視」を思い出してください。エーレンシュタイン錯視では、主観的な輪郭として、交差点の部分に見えた円が、周りよりも明るく見えました。つまり、画面上には明るさの変化はなくとも、脳内では明るさの変化が作り出されているのです。ネオンカラー効果の場合には、このような主観的輪郭による明るさの変化によって、色のにじみの広がりがとめられている可能性があります。
デモについて
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