説明
ドイツの心理学者、W.エーレンシュタインが1941年に発表した錯視です。このデモの1枚目の画像では、黒線の格子模様の十字路のところが切れています。そこに少し明るい白丸がみえませんか?
「すすむ」を押すか、画像を左にスワイプして2枚目の画像に進むと、背景が黒色になり、格子模様は白線でできています。背景よりも「黒い」黒丸が見えます。たいへん美しい錯視です。それぞれ背景より少し明るく、あるいは暗く見えるのは格子模様との明暗対比が生じているからだと考えられます。
それにしても、なぜ丸く見えるのでしょう。一つの仮説は、視覚システムが、線分の切れ目を検出したときに、それを覆い被さるようなモノが存在すると自動的に仮定する、ということです。たとえばちょっと部屋の中を見渡してください。多くのものがそれぞれ重なり合って見えますよね。つまりそれぞれのモノのエッジ(縁)だけを見れば、とぎれていることが多いと思います。しかし私たちは、それらが「ギザギザした変な形のモノ」だと認識することはないですよね。視覚システムは、モノの形が全て見えないような状況でも、いろいろな推理を働かせて、モノの正しい形を認識しているのです。
エーレンシュタイン錯視のように、「とぎれた線分」という情報しかない場合は、「線分の上には円がある」と、視覚システムが自動的・無意識的に仮定をしていると考えられます。視覚システムのとても賢い振る舞いが、エーレンシュタイン錯視を生み出していると考えられます。エーレンシュタイン錯視は「主観的輪郭(subjective contours)」とよばれる現象の一つです。このホームページには「主観的輪郭」に関連したデモがたくさん掲載されているので、ぜひそれらも訪れてください。
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。