説明
テンポが遅いと一音一音を追いかけることができますが、速くなると、途中の部分(音の高さが交互に跳躍する部分)では高低二つの流れに分かれます。高低の流れに分かれると、その間のタイミングははっきりしなくなり、同時にふたつのメロディーが聞こえてきます。このようにして、単音しか出せない楽器でも、擬似的にポリフォニーを実現することができます。
これは、テンポが速くなると周波数差が同じでも分凝が生じやすくなる効果(→音脈分凝/時間差)と、分凝が生じると流れをまたがったタイミング判断が困難になる効果(→音脈分凝とタイミング1)とが合わさったものです。古来、作曲家は、このような聴覚の特性を熟知して、すばらしい作品を作り出したのです。
(『音のイリュージョン』p.67)
参考文献
- 「音のイリュージョン ― 知覚を生み出す脳の戦略 ―」 柏野牧夫著 岩波書店 2010年
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯聴デモを使用される際には、耳にダメージを与えないよう、お使いのデバイスの音量設定を最適な状態にしてからおためしください。