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錯聴逆転の効果

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A
B
C

再生ボタン を押して音を再生してください。Aはバッハ作曲のある曲をピアノで演奏したものです。Bは同じ曲の楽譜を終わりのほうから逆向きに演奏したものです。CはBの音を逆に向きに再生したものです。Aと同じ曲に聞こえるはずですが、音色は全く違って聞こえます。

説明

楽器や人の声など、私たちが日常生活の中で出会う音の音色は、その音の持つ様々な特徴(要因)の組み合わせで決まります。音の時間的な変化も、音色を決める重要な要因であることにこのデモは気づかせてくれます。AとCでは、スペクトルの特徴には操作を加えておらず、音の時間パターンのみが異なるからです(図)。

AとCを聴き比べると、音色以外の違いにも気づくかもしれません。Aでは音符のそれぞれが短く歯切れよく打鍵されているような印象がありますが、Cではそれぞれの音が随分引き延ばされて、音符と音符の間がつながっているように聞こえます。正常な再生(A)では聞こえなかった、音符と音符の間に鳴っていた音が、逆再生することで聞こえてきたのだといえます。

ピアノ(弦をたたいて鳴らす楽器;図)だけでなく、自然界の多くの音は、音の出だしは比較的鋭く立ち上がり(アタック)、緩やかに減衰する(ディケイ)傾向を示します。室内で耳に届く音については、残響によってディケイ部分がさらに長くなります。上で「音符と音符の間に鳴っていた音」というのは、このディケイ部分に相当します。ディケイ部分の音は、鋭く立ち上がるアタックの後に提示されると、知覚上では抑えられるのです。逆再生では、アタックとディケイの順序が逆転するので、抑えられていたディケイの音が聞こえてきます。

参考文献

  • 小澤賢司: 音色, 音響学講座 5 聴覚(古川茂人 編著), コロナ社, 183-202, 2021.

デモについて

  • デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
  • 錯聴デモを使用される際には、耳にダメージを与えないよう、お使いのデバイスの音量設定を最適な状態にしてからおためしください。

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