説明
音楽も雑音も、特定の範囲の周波数成分だけを含むように加工してあります。スライダーの値が大きくなるほど、雑音の周波数範囲(帯域)が高くなります。スライダーの値が6のとき、音楽と雑音の帯域が一致します。それより小さい値では雑音の帯域の方が低く、大きい値では高くなります。音楽と雑音の帯域が一致するとき、最もなめらかに聞こえます。両者の帯域が離れてくると、なめらかには聞こえにくくなります。
これもマスキング可能性の法則の一種です。マスキングは、隠す音(マスカー)と隠される音(ターゲット)の帯域が近いときに大きくなり、離れると小さくなります。大きい(レベルの高い)音でも、帯域が離れていれば、マスキングの効果はあまり大きくありません。連続聴効果が生じるためには、中断部分に挿入する音は、その部分に本来存在しているはずの音をマスキングできる(隠せる)ような帯域を持っていないといけないのです。これも、「隠されたときだけ、その部分を補う」という聴覚システムの賢い機能の現れなのです。
(『音のイリュージョン』p.8-12)
参考文献
- 「音のイリュージョン ― 知覚を生み出す脳の戦略 ―」 柏野牧夫著 岩波書店 2010年
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯聴デモを使用される際には、耳にダメージを与えないよう、お使いのデバイスの音量設定を最適な状態にしてからおためしください。