説明
よく知られたパーティトリックの一つに”Dead finger trick(死んだ指の錯覚)”があります。この錯覚を体験するためには協力者が必要です。動画のように、自分の左手の人差し指と協力者の右手の人差し指をぴったり重ね合わせて、それらを自分の右手の人差し指と親指で挟んでこすります。このとき、相手の人差し指に対して、自分の指が麻痺してしまったかのような感覚が起こります。
この錯触は、どういうわけか相手の人差し指が自分の指であるかのように知覚されてしまい(身体所有感の錯覚)、その上で、自分の指であるにも関わらずこすられている感覚が返ってこないので麻痺したように感じる、という混合的な錯覚現象なのかもしれません。二本の人差し指をこするときに、それぞれの指を交互になぞるのではなく同時になぞらないと麻痺錯覚が起こらないことがわかっています。つまり、二本の指を同期して触れることによって、ラバーハンド錯覚のように、相手の人差し指を自分の身体の一部だと思い込んでしまうことが予想されます。しかし、自分の身体の一部だと思いこんでいるにも関わらず、それをこすったときに、自分がこすられた感覚は得ることができません。不思議なことに脳は「こすられた感覚がないからこの指は自分の指ではない」と解釈するのではなく、「自分の指が麻痺しているからこすられた感覚がないのだ」と解釈するようです。
参考文献
- Boulware, J. T. (1951). Numbness, Body-Image, and the Japanese Illusion. Science,114, (2970), 584–585.
- Arnold, H. L. (1952). Japanese illusion. Science, 115, 577.
- Dieguez, S., Mercier, M. R., Newby, N., & Blanke, O. (2009). Feeling numbness for someone else’s finger. Current Biology, 19(24),R1108–R1109.
デモのながれ
[1]. このデモはAさんとBさんの2人で行います
[2]. Aさんの指とBさんの指を重ねます
[3]. Aさんのもう片方の手で、重なっている指をはさんでこすります
[4]. Aさんには、自分の指がまひしているような感覚が感じられます
[5]. ぜひ試してみてください!
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。