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錯触笑顔とふくれっ面

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説明

まず、ゼムクリップを2本の先端の間隔が2cmくらいになるまで開いてください。この先端を上唇もしくは下唇のどちらかに押し付けてください。このとき、笑顔を作るように唇を横に引っ張ったときと、ふくれっ面をするように唇を中央に集めたときとではゼムクリップの2つの先端の間の間隔が違って感じられるのではないでしょうか。唇を張って伸ばすとゼムクリップの間隔はより短く感じられ、唇を尖らせて縮めるとゼムクリップの間隔はより長く感じられるのではないかと思います。

なぜ唇の状態によって知覚される長さが異なるのでしょうか? ありえる説明の一つは、脳が、唇で触れた物体の大きさを判断する際に唇の形状を考慮に入れていないとするものです。唇を伸ばしたときと縮めたときとでは、唇上の異なる地点がゼムクリップで刺激されることになります。唇を伸ばしたときは唇上のより短い2点が刺激され、唇をすぼめたときは唇上のより長い2点が刺激されます。そのため実際には同じ距離間隔の2点でも異なる長さに感じられたと考えることができそうです。

もしくは穴の大きさの錯覚で説明した皮膚の柔らかさと大きさ知覚の関係の延長でもこの現象を理解できるかもしれません。唇をすぼめると唇の肉が中央に集まるため、ゼムクリップの先端に唇がめりこむようになります。一方で唇を引っ張ると唇は硬くなり、唇がクリップにめりこむ量は大きく減ります。穴の内部に入り込めるくらい柔らかな部位ほど大きな穴の錯覚が生じたように、唇をすぼめて唇がクリップにめりこむようにしたことが2点間の距離がより大きく推定する原因になったのかもしれません。

参考文献

  • Anstis, S. M., & Tassinary, L. (1983). Pouting and smiling distort the tactile perception of facial stimuli. Perception & Psychophysics, 33 (3), 295–297.

デモについて

  • デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
  • 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。

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