説明
Aでは、左耳の音は250 Hz、右耳の音は251 Hzの純音です。これらを左右同時に鳴らすと、波形の周期がすこしずつずれていき、1秒(=1/(251-250))たつと再び揃います。これを両耳ビートと呼びます。脳内(脳幹の上オリーブ核)には左右の耳に入ってきた波形のずれ(位相差)を検出する神経メカニズムが存在しており、ここで検出される位相差が音源の位置を判断する際にひとつの手がかりになっています。このメカニズムが働くので、Aを両耳で聞くと、1秒周期の音の動きが知覚されるのです。Bでは500 Hzと501 Hz、Cでは1000 Hzと1001 Hz、Dでは2000 Hzと2001 Hzです。両耳の間の位相差は、1500 Hz程度までの低い周波数でしか検出できません。また、700 Hzあたりより高い周波数では、位相差は検出できますが、答えがひとつに絞れません。したがって、CやDでははっきりした動きが聞こえなくなるのです。
(『音のイリュージョン』p.53-54)
参考文献
- 「音のイリュージョン ― 知覚を生み出す脳の戦略 ―」 柏野牧夫著 岩波書店 2010年
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯聴デモを使用される際には、耳にダメージを与えないよう、お使いのデバイスの音量設定を最適な状態にしてからおためしください。