説明
CGで作ったマスクの映像を見てみましょう。動画を再生すると肌色に塗られたマスクが回転しはじめます。マスクの裏側(白色)が表れたら、その見かけに注意しましょう。
この画像はマスクの裏側ですから、あらゆる部分のでっぱり/凹み具合は普通の顔と逆転しているはず。ところが驚いたことに、鼻のでっぱりもほおの膨らみも、ごく普通の顔のように見えるのではないでしょうか?
立体に関する情報が曖昧な時、脳は「現実世界で起こりうる可能性が高い」解釈をとります。凹んだ顔を現実世界で見ることはまずありません。そのために、お面の裏やCGで作成した顔は、ふくらんで、つまり普通の顔として見えることがあります。
このように、実際とは逆の奥行き感覚が得られる時、ホロウマスク錯視が起きているのです。ホロウ(hollow)とは「凹んだ」の意味。凹んだ顔がでっぱって見えることから、ホロウフェイス錯視とも呼ばれています。
ところで、「動くドラゴンの錯覚」をご存じでしょうか?机の上などに置かれている紙の模型の龍(ドラゴン)を、自分が動きながら観察します。するとドラゴンが首を回しながらこちらを見続けているように感じる、という驚異の錯覚が生じるのです。この錯覚はホロウマスク錯視が元になっています。ぜひ「リバースパースペクティブ」でご確認ください。自分で組み立てられる紙模型がダウンロードできます。
参考文献
- Gregory, R. L. (1997) Eye and brain. Princeton University Press.
- Hill, H. & Johnston, A. (2007) The hollow-face illusion: object-specific knowledge, general assumptions or properties of the stimulus? Perception, 36, 199-223.
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。