音を再生してみてください。半音ずつ、無限に音が高くなり続けていくように聞こえませんか?
説明
この音は「無限音階」と呼ばれるものです。無限音階を最初に作ったのはシェパードという人で、のちにジャン・クロード・リセという作曲家が音楽の中に用いました。似たようなパターンは視覚にもあります。図の「無限階段」は、ペンローズという人が考案した不思議な立体図形で、オランダの画家エッシャーの『上昇と下降』という作品にも使われています。
無限音階は、音の高さの感覚に二つの性質があることを示しています。一つはピッチ(音高)で、例えばピアノの鍵盤で言えば右に行くほどピッチは高くなります。もう一つは調性的な高さで、オクターブ上がってもドはドというような意味での高さです。この調性的な高さは循環します。無限音階は、この循環性を利用しているのです。
このデモの作り方を説明しましょう(ちょっとややこしいですが)。ひとつの音は1オクターブ間隔の多数の純音を足し合わせたものになっていて、それに釣鐘状のフィルタがかかっています。つまり、周波数の高い純音や低い純音は振幅が小さくなり、真ん中あたりの純音の振幅が大きくなっています。これを半音刻みで周波数を変えていき、ちょうど1オクターブ上がる(11半音から12半音に移る)ところで、11半音下げてもとの状態に戻すのです。こうすると、両端(最も高い周波数と最も低い周波数)の純音は振幅がきわめて小さくなっているので、急に11半音下げられたことに気づきにくく、12半音(つまり1オクターブ)上がったように感じるのです。
デモについて
- デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
- 錯聴デモを使用される際には、耳にダメージを与えないよう、お使いのデバイスの音量設定を最適な状態にしてからおためしください。