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錯触穴の大きさの錯覚

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説明

子供のころ、歯が抜けた後にできた隙間を舌でなぞっていると奇妙なくらい大きな隙間のように感じませんでしたか? しかし指でその隙間をなぞってみるとさほど大きな隙間ではないことに気がついたはずです。1cm径くらいの穴の大きさを舌で判断したときと指で判断したときとでは、舌の方が穴の大きさが大きく感じられることが報告されています。

この錯触はウェーバーの錯覚に似ていると思われた人もいるかもしれません。つまり、指先よりも舌先のほうが触覚感度が高いために、触れた物体の大きさがより大きく感じられるのではないか、と思われたかもしれません。しかし、最近では指と舌先とでそこまで触覚感度に違いがないことがわかってきており、触覚感度だけでは十分に説明できないと考えられています。

この現象が生じる別の原因として、皮膚が柔らかいほど小さな曲面を正確に判断できるからではないかという説が提案されています。穴の内側の曲面に皮膚をぴったり沿わせて形状を把握することは穴の大きさを判断するための重要な手がかりになります。しかし、穴が小さくなるほど皮膚を曲面に沿わせにくくなり、その穴の曲面を正確に知覚することができなくなります。舌は指先よりも柔らかいので、舌先のほうがより小さい穴の内側の曲面に沿わせることができ、結果として指先で感じられる穴の大きさと異なる大きさを知覚するのではないかという説です。この説を裏付けるように、十分に指を沿わせることができる大きな穴であれば、舌先でなぞっても指でなぞっても大きさの知覚に差がなくなることがわかっています。更に、指先よりも硬い足の親指の先でなぞったときは、舌や指先よりも穴の大きさをより小さく見積もる傾向があることもわかっており、このことも皮膚の柔らかさが関与している可能性を支持します。

参考文献

  • Anstis, S. M. (1964). Apparent Size of Holes felt with the Tongue. Nature, 203(4946), 792–793.
  • Drewing, K. (2018). The extent of skin bending rather than action possibilities explains why holes feel larger with the tongue than with the finger. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 44(4), 535–550.

デモについて

  • デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
  • 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。

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