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錯触温度の指間参照現象

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動画を再生してください。温められたコインや冷やされたコインに囲まれた常温のコインの温度はどのように感じられるでしょうか?

説明

中指で常温のコインに、人差し指と薬指で温めたコインを触れると、常温のコインも温かく感じられます。また、温めたコインの代わりに冷えたコインに触れさせると、常温のコインも冷たく感じられます。このことから、ある指で触れた物体の温度を判断するとき、他の指に与えられている温度の情報も参照して判断すると考えられ、サーマルリファラル(温度の参照)という名前がつけられました。もっと簡単に体験するには、コインの代わりに、中指を常温の水に、人差し指と薬指を温かいお湯に浸す方法があります。

この錯触の最中に感じられている温度を調べた実験によると、中指と人差し指・薬指のそれぞれに与えられた温度の中間の温度が、三本すべての指において知覚されるそうです。つまり、中指に常温の物体、人差し指と薬指に温かい物体を押し当てた場合には、中指では実際より温かい温度が、人差し指と薬指では実際よりぬるい温度が感じられるということになります。日常生活では数センチ間隔で温度が切り替わる状況に遭遇することはめったにないので、それぞれの指に与えられた温度を同時かつ正確に判断するよりも、指全体に与えられた平均的な温度を計算するほうが脳にとって便利だったのかもしれません。

人差し指と薬指は温めたコインに触れたままで、中指だけコインから離すとこの錯触は消失します。このことから、指先に存在する温度センサの働きだけではこの錯触は説明できず、物体と指の間に生じる圧などを検出する触覚センサからの情報も必要であると考えられています。一方で、物体に触れなくてもこの錯触が生じうることもわかってきました。例えば、赤外線電球から出る熱を人差し指と薬指にあてて、中指にはあたらないようにしたとき、やはり中指も温かく感じることが示されています。この現象は、必ずしも圧などの触覚センサへの入力がこの錯触に必要ではないことを示唆しています。この錯触が生じるためには、物体接触状態が三本の指すべてで同じであることが重要なのかもしれません。

参考文献

  • Green,B. G.(1977)Localization of thermal sensation:An illusion and synthetic heat.Perception Psychophysics, 22, 331-337.
  • Ho, H. N., Watanabe, J., Ando, H. andKashino, M. (2011) Mechanisms underlying referral of thermal sensations to sites of tactile stimulation. Journal ofNeuroscience.,31, 208–213.
  • Cataldo, A., Ferrè, E., di Pellegrino, G. and Haggard, P.(2016) Thermal referral: evidence for a thermoceptive uniformity illusion without touch. Scientific Reports, 6, 35286.

デモのながれ

[1]. コイン3枚と40度くらいのお湯を用意します

[2]. コイン2枚をお湯に入れて温めます

[3]. コイン3枚を並べ、両端に温めたコインを置きます

[4]. それぞれのコインの上に指を重ねます

[5]. 温めていない真ん中のコインも温かく感じられます

[6]. 次はコイン2枚を冷たい水で冷やしてみましょう

[7]. コイン3枚を並べ、両端に冷やしたコインを置きます

[8]. 冷やしていない真ん中のコインも冷たく感じられます

[9]. なぜこのように感じられるのでしょう?

デモについて

  • デモの操作方法については、使用方法のページをごらんください。
  • 錯触デモを試される際には、皮膚・身体等に痛みやダメージを与えないよう、刺激強度、刺激方法、道具の操作にお気をつけください。

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